CMまたぎ

もうタイトルだけでおわかりだろう。最近の民放テレビ放送で、いわゆる「CMまたぎ」という手法が用いられてから久しい。もう、「ひどい」の一言である。

今はもうなくなってしまったが、正月特番で「かくし芸大会」のような番組があった。演者がひととおり「かくし芸」を披露した後、司会者が「それでは得点をどうぞ!」と言うと、審査員が点数を入れて「10点、10点、10点、10点、10点、満点です!」というような流れだ。ここで一区切りとなるので、このあとCMに入っていく…これが当然の流れであった。

ところが、1990年代初頭~半ばくらいからであろうか、「それでは得点をどうぞ!」の後に、

ブチッとCMに突入…

という構成に遭遇した。な、なんだこれ? へ、編集を間違ってますよ! こんなところで切るなんてありえないでしょ。筆者は当初「編集を間違った」のではないかと思うくらいだった。

もちろんこれは間違いではなく、「視聴者をじらしてCMを見させるため」意図的にこのような編集にしているのだ。いわゆる「CMまたぎ」という手法である。これが効果的なのかどうか知らないが、このような「論理的に無茶苦茶な」編集をする番組がどんどん増えてきて、今では視聴者の方も「どうせ結果はCMの後でしょ…」とわかっており、それが当たり前のようになってしまった。

ついでに最近のバラエティ等の「あるある」演出を皮肉を込めて再現してみよう。

  • 出演者のひとりが「実はこれは[????] (効果音ピヨピヨピヨ)なんです!」
  • 他の出演者2~3人が顔アップで驚いたような表情を見せ、その画面に観客っぽい声が「えぇ~~」とかぶる。
  • で、ブチっとCM突入…
  • CM明けでは、切れたところのちょっと前から再開して上記[????]の部分がようやく開示される。
  • でも、他の演者が驚いたような表情の場面はなく、その「正解」に関する内容が淡々と流れるだけ。
  • しかもその内容はじらすほどのものでない低レベルなコンテンツ

上記[????]の部分は、皮肉を込めてあえて「全角」で打ってある。もうね、CMまたぎだけでもひどいのに、

もはや「うそをついている」

レベルである。完全に視聴者をバカにしている。よくスポンサーが文句言わないもんだ。

このような低俗な演出が当たり前になってしまった以上、もし筆者がスポンサーなら以下のようにして逆に差別化を図りたい。

  • コンテンツの論理構造を大切にし、ひとまとめに見せるところは絶対に切らない。
  • CMまたぎをしない。
  • 出演者のアップで表情だけという画面構成をしない。(ワイプも不要!)

この他にも最近の番組構成について苦言を呈したいことは山ほどあるが、また別の機会に。

令和2年11月17日 初出