令和2年10月現在、相も変わらず高齢者による操作ミスと思しき交通事故のニュースが絶えない。
池袋で起きた高齢者による暴走事故の裁判が始まったようだが、被告人は自動車の不具合を理由に無罪を主張しているという。裁判で無罪を主張するのは被告人の権利であるし、感情的に「魔女裁判」になってはいけないものの、それでも筆者は「いやいや、そうやって、自分のミスに気付かない・認めないこと自体が既に認知機能に問題があるだろう!」という気持ちになってしまう。
これ以外にも、高齢者による「ブレーキとアクセルの踏み間違い」や「逆走」等の案件が頻発している。高齢者といっても、その能力には激しい個人差があり、一律「高齢者の運転免許なんか取り上げろ!」というのも暴論だ。そもそも、問題のある「高齢者」をどう定義するのか…難しい問題だ。
高齢であることと運転における能力の低下について、定性的ではなく科学的・医学的・定量的に評価できる基準のようなものができるのが理想だろう。そのような基準があれば、その基準に基づいて運転免許証の効力停止等が「法的」に可能になるだろう。
上記のような基準ができるにはまだまだ時間がかかりそうだ。そもそも自動車を運転する高齢者がこれほど出てくるという状況は、人類史上初めてのことだ。これから様々な研究が進んで、何らかの定量的な基準ができることを期待したい。
とはいえ、このまま現状の状況が続けば、また不幸な事故が量産され続けかねない。そこで、
免許は一定年齢で一旦停止
とするしかないと思う。例えば、「75歳で一旦停止」とする。その上で、運転を続けたい人は、改めて学科試験と実技試験を受けて、それに合格したら1年間だけ延長できる、というようにする。試験は、最初に免許を取った時と同じくらいである必要はなく、最低限の道路交通法と最低限の実技試験を課す、
特定運転免許試験制度(仮)
なんてのを導入してはどうだろうか。
学科試験は、最低限の道路交通法を問う問題で30問程度、単純に数値を問うような問題ではなく、標識や標示の意味や、どこで駐停車禁止だとか追い越し禁止だとかの問題にする。普通の人が(例えば40代の人とか)受ければ90点くらいは取れるようなレベルにする。合格点は70点以上とか。
実技試験は、信号のあるコースで右左折を含めて2周程度、コースは横に乗っている試験官が指示する(覚えなくてよい)、バックでの車庫入れとクランクくらい。車線変更する時にちゃんとミラーと目視で後方確認しているか、ウィンカーのタイミング、アクセルとブレーキの適切な使用等、「安全に運転ができるか」という観点で評価するようにする。
あと、実技試験では、AT限定じゃない免許を持っている人にはマニュアル車で受けさせる。これで合格基準に達しなければ、AT車で再受験を認めて、それで合格すればAT限定免許になる。AT車でも不合格なら、免許停止とする。
この特定運転免許試験制度(仮)による試験が受けられるのは、最大1年間までとし、受験回数も例えば2回までとかに制限する。この間に試験に合格できなければ、免許は自動的に失効(返納扱い)ということにする。
もちろん、特定運転免許試験(仮)を受けずに、75歳の時点で自主的に返納してもよい。返納しなくても、75歳から特定運転免許試験(仮)を受験せずに一定期間経過すれば(例えば1年間とか)自動的に失効(返納扱い)とする。
特定運転免許試験(仮)の有効期間を1年とかにすると「毎年試験を受けるのは面倒だ」という声が聞こえてきそうだが、走る凶器になりうる自動車を運転するのに、
1年に1回くらいの試験を
マネージメントできない人は、
どうぞ運転をやめてください
というスタンスでよいのではないか。
このように、
- 免許の有効期限は、一定の年齢までが原則(例: 75歳まで)
- それ以降は、特定運転免許試験(仮)に合格すれば1年単位で延長される。
- 特定運転免許試験(仮)に合格した人は、また次の年に受験して合格すれば運転を続けられる。
という制度にすれば、運転が危うい高齢者はおのずと「淘汰」されるだろう。高齢者でも認知機能や運転能力に問題ない人は(試験に合格さえすれば)運転が続けられるので、一律に「取り上げる」より公平感もあるだろう(「できる」人の権利までは奪わないということ)。
もうね、こんな風にするしかないんじゃないでしょうかねぇ?
令和2年10月14日 初出